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英語・英文学を中心に、言語や文学と関連して考えたり思いついたりしたことを書いていきます。
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2019/11/21 (Thu)
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2012/02/09 (Thu)
前回は、英語の忌み言葉の例として、畏れ多くて口にするのがはばかられる神の名のことを話題にした。一方、名前を口にするのがはばかられる、というと、ハリー・ポッター・シリーズに登場する Voldemort のことが思い出される。前回みたように、God等に対する忌み言葉の場合は、日本語のそれとは少し異なる感覚に基づくもののようだが、一方、Voldemort に関しては、日本語の忌み言葉と似ているところがあるように思われる。

Voldemort は邪悪で強力な魔法使いで、他の魔法使いたちは彼のことを極度に恐れるあまり、その名を口にすることすらタブーとしている。そのため、作中人物が彼のことに言及する際には、You know who「(名前を言わなくても)誰だかわかる彼」だとか、He who must not be named「名前を口にすべきでないあの彼」などと、遠回しの表現が使われる。

この名を口にすると、本当にVoldemort が現れるのではないかという恐怖心からこのようなことが行われているということであろう。名前を口にするとその人物が現れるのではないか、というのは、言葉に力があり、その力によって口にしたことが現実に起こるのではないかと期待したり恐れたりする日本の言霊信仰の背後にある考え方と基本的に同じ発想である。

日本語の「噂をすれば影」という言葉も、Voldemort についての場合と同じ考えに基づき生まれたものだろう。映画『男はつらいよ』シリーズでは、とらやの面々が、行商の旅に出かけ長い間留守にしている寅さんの噂話をしていると、ひょっこり彼が現れるという、コミカルなシーンがお決まりのパターンとなっていたように思うが、これも日本の言霊信仰の名残と言えるだろう。

ハリー・ポッターの作中人物たちは、寅さんがひょっこり現れるのと同じように Voldemort が現れることを恐れて、上記のようなまわりくどい忌み言葉を使っているのである。


 
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中世英語英文学や英語史を専門とし、駒澤大学文学部で教えています。さらに詳しくは、ホームページをご覧ください。
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