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英語・英文学を中心に、言語や文学と関連して考えたり思いついたりしたことを書いていきます。
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2015/01/04 (Sun)
ロンドンの下町に生まれ育った人達、あるいは彼らの話す訛りの強い英語のことをコクニー(cockney)といいます。親子三代続けて東京(江戸)生まれでないと本当の「江戸っ子」ではないというようなことが言われることがありますが、コクニーの場合は、St Mary-le-Bowという教会の鐘の音が聞こえる範囲内で生まれなければ本当のコクニーではないとも言われることがあります。このような考えに基づいた born within the sound of Bow Bells「ボー教会の鐘の音が聞こえるところで生まれた」という表現もあります。

OED Online によると、このような文脈で使われた Bow Bellsという言葉の最初の記録は、1600年に出版された Samuel Rowlandsという人の The Letting of Humors Blood in the Head-vaine という本に見つかり、コクニーに関する上記のような考え方にも非常に長い歴史があるということが分かります。



St Mary-le-Bow はロンドンの「シティ」のほぼ中心に位置し、その鐘の音の聞こえる範囲というのは、大まかに「シティ」のことを表すものと考えられています。もっとも現在では、「シティ」生まれでなくとも、「シティ」のあるロンドン東部、イースト・エンドの辺り、あるいはより広くロンドンの出身で、ロンドン訛りの英語を話す人には全般的にコクニーという言葉が使われているように思います。

いずれにしろ、St Mary-le-Bow はシティの中心にあり、コクニーの「聖地」のような教会としてよく知られており、ロンドン観光の一環としてこの教会に足を運ぶ人も多いようです。

この教会に実際に行ってみると、ここにはもう一つ英語の歴史と関連したものがあることに気づきます。教会の庭の真ん中に像が一つ立っています。この像は Captain John Smith の像で、いかにも17世紀の船長らしい姿の像です。



16世紀末頃から、北米大陸に植民地を作るべく、イギリスからの植民が行われるようになりましたが、最初のうちはアメリカの厳しい環境に適応しきれず、植民計画はなかなかうまくいきませんでした。試行錯誤の末、最初の永住植民地となったのは、1607年に建設が始まったヴァージニアのジェームズタウンでした。Capitain John Smith はこの時アメリカに渡り、1608年からその翌年にかけて、最初期のジェームズタウンを築くに当たって中心的な役割を果たした人物として知られています。

ジェームズタウンを中心とするヴァージニア植民地の成功により、イギリスからの移民がアメリカに多く渡るようになり、この動きがやがてアメリカ合衆国の成立へと繋がっていくのです。したがって、Captain John Smith は北米大陸に英語話者を根付かせるのに大きな役割を果たした人物であるということが出来ます。そしてイギリスおよびそれに次ぐアメリカの発展ゆえに、今や英語は世界の共通語とも言えるような地位に登り詰めました。その意味で、Captain John Smithは英語の世界進出の第一歩を助けた人物とも言えるように思います。

Captain John Smith の像が St Mary-le-Bow の中庭にあるのは、アメリカに渡る以前の彼がこの教会を含む教区に属していたからです。教会の中庭の彼の像の台座には、上記のような彼の功績を踏まえ、次のような言葉が刻まれています。
CAPTAIN JOHN SMITH
CITIZEN AND CORDWAINER 
1580-1631
FIRST AMONG THE LEADERS OF OF THE SETTLEMENT
AT JAMESTOWN VIRGINIA
FROM WHICH BEGAN THE OVERSEAS EXPANSION 
OF THE ENGLISH-SPEAKING PEOPLES


というわけで、St Mary-le-Bow はコクニーの「聖地」であり、なおかつ英語の世界進出とも所縁の深い場所だというお話でした。。。




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中世英語英文学や英語史を専門とし、駒澤大学文学部で教えています。さらに詳しくは、ホームページをご覧ください。
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